執筆者: 木ノ下 千栄(きのした ちえ)
◆厄除の信仰あつい「壬生寺」

京都の難解地名の1つとしてあげられるのが、「壬生」。これで「みぶ」と呼びます。市バスの終着地の1つでもあり、京都に来られる際は、バスの表示に「壬生行き」をよくご覧になることでしょう。

この壬生には、「壬生狂言」でも有名な「壬生寺」があります。壬生寺は、厄除・延命の寺として信仰があつく、節分の時期には参詣者で大いににぎわいます。
                      (右写真:壬生寺の正門)

また、新撰組ゆかりの地でもあり、境内には新撰組隊士の供養塔や、近藤勇の胸像があります。
                      (右写真:新撰組ゆかりの壬生塚)

◆厄除鬼払い狂言「節分」

この壬生寺では2月2日~4日にかけて、冬の京都観光行事として有名な「厄除節分会」が行われます。これは白河天皇の発願によって始められたと伝えられ、900年者伝統をもつと言われています。

この中で行われる狂言「節分」は、壬生狂言三十番組のうち節分の豆まきにちなんだ演劇で、人間はまめになること(勤勉に努め、精進すること)が大事であり、そのことによって、鬼(のような不幸や災難)を追い払い、福を得ることが出来るという内容です。

この狂言「節分」の上演は、春の壬生狂言公開である「壬生大念佛会」にさきがけて行われるもので、「節分会」の参拝者の厄除・開運を祈願して、繰り返し行われます。壬生狂言は、昭和51年に京都府下で第1号として、国の重要無形民俗文化財の指定を受け、今でも古式通りに厄除の大法要、炮烙奉納、大護摩供養、お練り供養、厄除護摩祈祷、星祭りと様々な祭事が行われています。

この日、参詣者は境内で炮烙(ほうらく)という素焼きのお皿を買って、家族や知人の年齢・性別を墨書きし、奉納します。この炮烙は、4月の壬生狂言の演目の中で割られ、これを割ることで、その人の厄が落ちるとされています。
(右写真:炮烙割りの場面)           

◆壬生狂言の「い・ろ・は」   

京都古来の芸能として有名な壬生狂言は、鎌倉時代に「円覚上人(えんがくしょうにん)」(1223年~1311年)が、仏教を民衆に分かりやすく教えようと、身振り手振りで表現したことに始まると言われています。当時、上人の教えを聴きにくる人が10万人にも及んだので、円覚上人は「十万上人」とも呼ばれました。このような群衆の中で教えを分かりやすく伝えるのは難しい・・・、そう考えた上人は現在のいわゆる「パントマイム」(無言劇)に教えを仕立てて、布教に努めたと言われています。メガホンのない時代ならでは、のアイディアですね!                          (上写真:壬生狂言の一場面)  

のどかなお囃子の中で静かに、ゆったりと演じられるこの壬生狂言は、正式には「壬生大念佛狂言」といい、地元では「壬生さんのカンデンデン」と呼ばれ、親しまれています。

壬生狂言は、節分の時期以外に、
 春の公開 4月21日~29日まで
 秋の公開 10月10日を含む連休の3日間
行われ、両方とも毎日午後1時~5時30分頃まで上演されます。

春の公開には、2月の節分で奉納された炮烙が舞台から落とし割られ、観客の拍手喝采が絶えません。見どころの1つです。また、狂言が演じられる「大念佛堂(狂言堂)」は、昭和55年に、国の重要文化財に指定されたもので、必見の価値ありです! (右写真:狂言堂)  

◆場所・日時(※各行事の日程は、天候等の理由で変更になる場合があります。)
壬生寺(〒604-8821京都府京都市中京区壬生梛ノ宮町31番地)/2月2日~4日
問い合わせ:壬生寺 075-841-3381  FAX 075-841-4481
地図はこちら

《「厄除節分会」行事予定》
 2月2日 壬生狂言「節分」上演。 大護摩祈祷。
 2月3日 壬生狂言「節分」上演。厄除祈祷会。星祭り。
  ※壬生狂言は2月2日・3日の午後1時~。1時間おきに8回上演予定(無料)。
 2月4日 招福ぜんざいの無料接待。 結願法要。

◆交通

・市バス3・11・26・27・203系統・「壬生寺道」下車。
・阪急電車京都線「大宮」駅下車、徒歩約10分。
・駐車場 無。
・車椅子 不可。

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